ここでは、情報通信技術を利用したシルバー関連ビジネスを対象とする。
情報通信技術との関連においては、シルバー関連ビジネスを2つの視点から考えることができる。
1つ目は、携帯電話やパソコンといった情報機器が苦手な高齢者も情報機器を容易に使いこなせるよう、ユニバーサルデザインやインターフェース技術を活用して製品を開発するビジネスである。2つ目は、身体能力、機能の衰えた高齢者が自立した生活を営めるようにサポートする福祉機器やアプリケーション/サービスが挙げられる。
我が国においては高齢者層における情報通信機器の利用はあまり進んでいないのが現状である。総務省通信利用動向調査によると、高齢者の携帯電話の利用率は60代後半で37.8%、70代で19.1%、80歳以上では6.3%であり、若年層と比較し非常に低いことが分かる。同様に、パソコンの利用率は携帯電話よりも更に低く、60代後半で16.7%、70代で6.8%、80歳以上では0.7%に留まる。
このように、高齢者層で情報通信機器の利用が進んでいない理由としては、「必要性を感じない」「使い方がわからないので面倒」などがアンケート調査結果で挙げられており、文字が小さく見づらい、ボタンが小さく操作しにくい、操作が複雑といったことから、高齢者は容易に情報通信機器を利用できない状況にあることが分かる。こうした状況を踏まえ、近年、操作に不慣れな高齢者が、情報通信機器、インターネットを簡単に利用できるようにする、といった視点での取組みが情報通信機器メーカー等で行われるようになった。例えば、ボタンを大きくする、機能を絞る等の工夫により操作を簡単にした高齢者向け携帯電話や、拡大表示機能を有したソフトウェアがセットされたパソコンなどが開発されている。
ただし、これら情報通信機器の普及は不十分なのが現状である。財団法人共用品推進機構では、「身体的な特性や障害にかかわりなく、より多くの人々が共に利用しやすい製品・施設・サービス」を共用品と定義し、製品における普及度を調査している。この調査結果によると、電気機械の共用品普及度は家庭用電化機器でこそ33.3%まで進んでいるが、情報通信機器は4.1%に留まっており、より多くのユーザーが利用しやすい製品開発への取組みが、これら業界における今後の課題と思われる。
今後、高齢化の進展に伴い一人暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯の増加が見込まれる。65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、高齢者の一人暮らしが占める割合は1986年の13.1%から2004年には20.9%に増加している。夫婦のみの世帯が占める割合も、2004年には29.4%に達している。独居高齢者や高齢者夫婦世帯など65歳以上の高齢者のみで構成されている世帯の比率は2004年には44.0%、758.5万世帯にまで増加している。こうした高齢者のみで構成された世帯が自立した生活を続けられるよう、それをサポートする福祉機器や情報サービスだけでなく健康管理といったアプリケーション/サービスも求められている。
健康な高齢者における自立生活のためのサポート、要支援/要介護者のためのサポート、介護を担う人達へのサポートなど様々な側面からのサポートが求められており、そうしたサポートを実現するためのアプローチ方法においてもアプリケーションとしての提供やサービスとしての提供など様々な形態が考えられている。