情報通信研究機構
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NICT情報通信ビジネスセミナー2005 開催報告

〜発展成長する情報通信市場、ICTビジネスの可能性を探る〜


第3回セミナー インターネットと放送の融合、ケータイTVの最新動向
独立行政法人情報通信研究機構では、NICT情報通信ビジネスセミナー2005として、2006年2月6日(月)都市センターホテル(都市センター会館)にて「第3回セミナー インターネットと放送の融合、ケータイTVの最新動向」を開催いたしました。

【第1部】「放送と通信の連携に向けて〜デジタル放送から広がる新たな可能性〜」
【第2部】「携帯電話が目指す放送通信連携サービス」
以下にその概要を掲載いたします。

主  催: 独立行政法人情報通信研究機構
場  所: 都市センターホテル(都市センター会館)
講  義: 平成18年2月6日(月) 14:00〜16:30
講  師: NHK
総合企画室〔デジタル放送推進〕担当部長
元橋 圭哉(もとはし・けいや)氏

KDDI株式会社 コンテンツ・メディア事業本部
メディア本部 コンテンツビジネス部長
神山 隆(かみやま・たかし) 氏
 
元橋 圭哉氏 第1部
「放送と通信の連携に向けて
〜デジタル放送から広がる新たな可能性〜」


NHK
総合企画室〔デジタル放送推進〕 担当部長
元橋 圭哉

 現在、私ども放送事業者はデジタル放送の普及に熱心に取り組んでおります。このデジタル放送の1つの究極の姿が、本日のテーマである「放送と通信の連携型サービス」であると考えられています。
 この新しいサービスは、もちろん視聴者にとって暮らしをより豊かにするなど非常に有益なものになると考えられますが、同時に、放送事業者にとってもサービスの可能性を広げる大きなチャンスになると期待されています。さらに通信事業者や機器メーカー、あるいはコンテンツやサービスなど、関連のさまざまなビジネスを展開されている方々にも広がりを持つものになるはずです。ここでは、こうした全体像を俯瞰しながら、これから放送の完全デジタル移行が予定されている2011年までに、何が起きてくるかについてお話をして参りたいと思います。

アナログ放送は2011年まで

 放送と通信の連携型サービスのお話に入る前に、その前提となる地上デジタル放送について少し説明しておきましょう。
 地上波テレビ放送のデジタル化は、まずイギリスや米国で1998年にスタートしました。日本でも、ご存じの通り、2003年12月に東京、大阪、名古屋の3大都市圏の一部地域でサービスが開始され、昨年(2005年)12月の東北6県でのサービス開始により、すでに全国の60%にあたる2800万余りの世帯で視聴可能になっています。今年12月までには全国すべての県庁所在都市などでサービスが始まり、約8割の御家庭でご覧いただけるようになる予定です。
 日本で地上デジタル放送が推進されているのには、大きく2つの理由があります。1つは、ハイビジョンやデータ放送、マルチチャンネル、さらに今年4月にスタートする携帯電話などの移動端末向けのサービス「ワンセグ」など、アナログ放送ではできない新しいサービスを提供することを通じて、ジャーナリズムや映像文化など放送本来の機能をより高度化し、視聴者のより豊かな暮らしに貢献するということです。
 もう1つは、電波の有効利用が可能なデジタル放送に切り替えることで、現在テレビ放送に使われている周波数の一部を需要が急拡大している携帯電話など別の目的に使えるようにしようということです。今のところ、2011年に全国津々浦々にデジタル放送が行き渡りアナログ放送が終了した後は、UHFの52チャンネルまたは54チャンネルより上の8〜10チャンネル分を携帯電話など放送以外の用途に、またVHFの12チャンネル分もテレビ放送以外の用途に割り当てられることが想定されています。
 私ども放送事業者も、デジタル放送のメリットをできるだけ早くすべてのお客様に享受していただきたいと考えておりますので、今、全力を挙げて、放送番組の拡充とデジタル放送のサービスエリアの拡大に取り組んでいるところです。
 昨年7月29日に、情報通信審議会「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」が、第2次中間答申を出し、その中で山間地など中継局の整備に時間がかかり早期のサービス開始が難しい地域を中心に、通信事業者や自治体が設置している光ファイバーなどの通信伝送路を有効に活用して地上デジタル放送の再送信を行っていくことが提言されました。もちろん、放送事業者自身が中継局を整備していくのが大原則であるということには変わりはありませんが、今、このような補完的な伝送手段のあり方についても、技術的な可能性や実際に運用していく場合の課題などについて放送事業者と関係各方面がいっしょになって検討を進めているところです。

放送の役割・機能は変わらない

 申し上げるまでもないのですが、デジタル放送になっても、アナログ時代と同様に放送の基本的な役割や機能−−すなわち多くの人々が求めている情報を、放送局というジャーナリズムや映像コンテンツ制作などを専門とするプロ集団の手で、視聴者に信頼していただけるニュースや感動していただける番組として提供していくこと−−が、変化するわけではありません。むしろ、デジタル化でハイビジョンや、データ放送、あるいは「ワンセグ」などの新しいサービスが実現することによって、放送の果たすべき役割や機能が、さらに強化・拡充されていくことになります。
 もちろん器が新しくなるわけですから、付加される機能がでてきます。特に重要な要素は、テレビの受信機が通信機能を持つようになるということです。デジタルテレビには、放送を受信するだけでなく、IP接続機能が標準で搭載されています。また「ワンセグ」対応の携帯電話機には、当然ですがすでに通信機能が装備されています。
 これにより、これまでのような一方通行型の放送だけでなく、視聴者からのリクエストや意見を生かす双方向型の番組やサービス、さらには放送をきっかけにして、ブロードバンドやモバイルネットワークからもコンテンツを提供するような新しいサービスも可能になります。電波を使い地域に同時かつ一斉に情報を伝えることが得意な放送と個別の細かい視聴者ニーズに対応できる通信のメリットを、シームレスに展開できるようになり、視聴者にとって非常に利便性の高いサービスが実現できるようになると期待されています。これが「放送と通信の連携型サービス」です。
 よく放送と通信の「融合」という言葉も使われるのですが、私どもはもっぱら「連携」という言い方をしております。「融合」というと放送と通信の境が何もなくなり、くっついてしまうようなイメージになるのですが、デジタル技術によって相互に似たようなことができるようになってきているとはいえ、放送と通信の社会的な役割・機能はかなり違いますし、それぞれが社会において非常に重要な役割を果たしております。融合させるというより、むしろお互いに特性を生かしあうことでそれぞれ単独ではできなかった、ユーザーにとってより利便性の高いサービスを提供していけるようになるのではないかと思います。

防災用途でも期待される「ワンセグ」

 地上デジタル放送では6MHzという1チャンネル分の周波数を13のブロック(セグメント)に分けて運用しており、そのうち12セグメントでハイビジョンやマルチチャンネル、データ放送を行っています。その残りの1つのセグメントで提供される、移動端末向けのサービスに「ワンセグ」という愛称を付けて普及を促進しようと考えているところです。
 このように日本の地上デジタル放送の特徴は、同じ周波数の中で家庭向けの高画質サービスと移動端末向けのサービスを組み合わせて送ることができるところにあります。これは、周波数が込み合っている日本ならではの知恵であり、放送局にとっても同じ設備で多様なサービスができますから非常に効率のいいシステムといってよいと思います。
 すでに東京地区ではNHKや民放キー局によって「ワンセグ」の試験的なサービスが提供されており、4月1日に本格的にサービスが開始されると、地上デジタル放送が提供されている地域で利用が可能になります。
 「ワンセグ」で放送される番組は、当面は家庭向けにハイビジョンで放送されているものと同じ内容のものになりますが、外出時や移動中でも非常に安定した美しい画面でテレビ番組の視聴が楽しめます。また、データ放送によって番組に関連するさまざまな情報が提供されます。さらにデータ放送からのリンクで、携帯インターネット上の関連サイトに飛んでいくことも可能になっています。
 すでに各放送局ともさまざまな形で、携帯インターネットを活用したサービスを行っているわけですが、「ワンセグ」の登場によって、この流れがさらに加速し、より立体的な放送・通信連携サービスが実現できるようになっていくものと期待しています。
 これには2つの側面がございます。1つは携帯インターネットのサービスを提供されている事業者の立場からすると、テレビ放送をご覧になっているお客様を、携帯側のサービスに誘導したいと期待されているのだと思います。他方、われわれ放送局は、そうした取り組みと同時に、今まで家庭のテレビをご覧いただいてきたお客様に加えて携帯インターネットをご利用になっているお客様にも、携帯サイト経由で新たに放送の視聴者になっていただきたいと考えております。この両方向の連携がぜひ育って、こうしたサービスが視聴者の利便性につながるとともにさまざまなビジネスに結びついていって欲しいと思っています。
 携帯電話というのは、多くの人が24時間肌身離さず持ち歩く情報端末ですから、外出時にテレビ放送の視聴機会が増えることも期待できますし、災害時の情報提供手段としても、例えば大勢の方に信頼できる情報を迅速にお知らせする役割はテレビ放送が担い、ユーザーによって個別にニーズが異なる安否情報やライフライン情報などは、携帯インターネット側で伝えていくといった使い分けによって、社会的に大きな役割を果たしていけるのではないかと思います。

多様な視聴形態が可能なサーバー型放送

 最後に、家庭のテレビ向けの放送・通信連携型サービスについても簡単にご説明したいと思います。
 すでに私どもが提供している地上デジタル放送では、先ほどお話しした「ワンセグ」と同様、データ放送画面からのリンクによってインターネット上の関連サイトにアクセスするサービスが可能になっておりまして、NHKでは「データオンライン」という名称で番組の詳細情報の提供や全国の他の放送地域のニュース情報がいつでも見られるサービスも行っています。
 現在これをさらに発展させた「サーバー型放送」サービスの実現をめざして開発を進めています。これは、家庭に設置された「ホームサーバー」に番組を蓄積して、視聴者が番組を時間にとらわれずにご覧いただけるようにするものです。このサービスでは、現在DVDレコーダーで放送録画して単純にタイムシフト視聴ができるのとは異なり、番組に関連する補完的な内容やその内容が始まるタイミングなどのデータを記録した「メタデータ」を放送やブロードバンド経由で送ることにより、これを使って蓄積された多くの番組の中から必要な部分を検索して簡単に頭出しをしたり、関連するほかのコンテンツ、例えば放送局にある膨大なアーカイブス・コンテンツを追加的に取り寄せるなど、これまでの放送とは違った多様な視聴スタイルが可能になります。サーバー型放送の番組には現在と同様に、リアルタイムで配信される「タイプ1」と呼ばれるものと、番組のデータをファイルで送って蓄積してから見る「タイプ2」の2種類があり、タイプ2は、例えばデータ放送の領域を使って夜間に番組を配信しておくことも可能です。放送だけでなくブロードバンド経由でも同様にリアルタイムのストリーミング・サービスやダウンロード・サービスが可能になります。ただしこうしたサービスを行う場合、これまでとは提供形態が大きく変わりますので、著作権の保護や活用・許諾のルールも変わってくると考えられます。
 こうした仕組みは、将来的には、放送だけでなく自治体などの公共的な情報サービスなどにも広く活用されていくのではないかと思います。
 きょうご説明したようなモバイルやブロードバンドを活用した放送・通信連携による様々なサービスはこれから徐々に発展・拡充し、アナログ放送が終了する予定の2011年頃には、大きく花開いていくものと期待しています。NHKもデジタルの成果を放送サービスの高度化という形で視聴者の皆様に還元していくため、これらに積極的に取り組んで参ります。しかし、繰り返しになりますが、提供形態がどう変わろうとも放送局にとって最も大切なのは、視聴者に信頼され満足していただける情報を、高いクオリティでお届けするということであり、それはこれからも変わりはありません。その中で、放送と通信の連携型サービスの新しい可能性を探っていきたいと考えています。
NHK
総合企画室〔デジタル放送推進〕 担当部長
元橋 圭哉(もとはし・けいや)氏
1982年(昭和57年)、NHK入局。
地方放送局でニュース取材、番組制作を担当後、88年から番組制作局で子供向けの教育番組やインタラクティブ教育コンテンツの制作、衛星放送の海外中継番組などを担当。
91年に欧米での日本語テレビ番組サービス「テレビジャパン」の創設に参加し、その後、アジア地域向けの衛星回線による日本の映像情報の発信の拡充に従事。
98年から総合企画室でデジタル放送対応やインターネット展開などを担当。
現在は、BS・地上デジタル放送の普及推進のほか、ブロードバンド、モバイル、サーバー型放送等のサービス開発などを担当。
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
 
神山 隆氏 第2部
「KDDIが目指す放送通信連携サービス」


KDDI株式会社
コンテンツ・メディア事業本部 メディア本部
メディアビジネス部長
神山 隆

 今日は、「KDDIが目指す放送・通信連携サービス」というテーマで、お話をさせてい
ただくわけですが、その前に、その背景となる「ケータイのメディア化」について若干
説明をしておきたいと思います。
 私どもKDDIは、2003年11月に3.5世代携帯電話サービス CDMA2000 1X WINの提
供を開始いたしました。このサービスには大きく2つ特徴あります。1つは最高2.4Mbps
の高速・大容量データ通信が可能であること、そしてもう1つが、携帯電話インターネ
ットサービスEZwebのパケット料金に初の定額制料金を導入したことです。この2つ
の特徴を生かして、当社はビジネスモデルの大きな変革を進めております。そのキーワ
ードが「ケータイのメディア化」です。
 では、まず、この2年で私どものビジネスモデルが、具体的にどう変化したかに触れ
た上で、この「ケータイのメディア化」という文脈の中で、放送と通信の連携がどのよ
うな意味を持つかについて、お話をしていきたいと思います。

定額制が変える携帯電話ビジネス

 昨年11月、当社の1X WINの加入者は600万人に達しました。しかもその86%の方が定額料金をご利用になっています。これには、当初のWINサービス開始当初の月額税込み4410円という一律定額の料金体系を、2段階のダブル定額という形に変更したことが大きく寄与しています。
 この定額料金の普及は、お客様の情報行動、メディア接触行動にも大きな変化を及ぼしています。従量制の1Xでは、EZwebを毎日お使いになる方は、27%に過ぎませんが、WINでは、これが71%に達しています。また、WIN向けのポータルへのアクセス数も急増しています。この利用形態は定額制が常識となっているインターネットに近いといえると思います。
 こうした、定額制料金がもたらすユーザーの情報行動の変化に対応するために、私どもは2つの方向性でコンテンツを拡充して参りました。1つは、WINの高速性を生かしたもので、具体的には、「着うたフル」、「電子書籍」などのリッチコンテンツがこれにあたります。
もう1つが、コンテンツ自体にはそれほどデータ量がないが頻繁にトランザクションが発生するというものです。具体的には、ブログやオークション、Eコマースなど、いわゆるコミュニケーション系コンテンツが中心となります。これらはいずれも急速に利用が増えていますし、同時に関連業界に、さまざまなビジネスチャンスを生み出しています。
 例えば、楽曲配信サービスの「着うたフル」は、昨年12月のダウンロード数が365万、売上は11億円に達しました。この月のシングルCDの売上は500万枚、売上は11億ですから、その3分の1程度の市場規模に成長しているわけです。
 さらに、KDDIでは今春、「着うたフル」の音楽配信フォーマットを利用して、PCでも着うた携帯でも利用でき、さまざまな新しいコミュニケーション機能をサポートする新しいコンセプトの音楽配信サービス「LISMO」をスタートさせます。これも、「ケータイのメディア化」の一環です。

携帯のメディア化に向けた3つのアプローチ

 では、ここで、私どものこうした取り組みの中で「ケータイのメディア化」がどういう意味を持つのかを、少し体系付けて整理をしてみたいと思います。
 携帯電話は、現在では、生活者がほとんど肌身離さず持ち歩く、唯一の電子デバイスだといっても過言ではありません。実際スペックは数年前のWindows95搭載のPCと同じくらい高度なことができるようになっています。しかし、その機能を実際にユーザーがお使いになっているのは1日あたり1時間もない、大半は遊んでいる状態にあるのだと思います。こうした「遊休状態」にあるケータイへのお客様の接触時間を増やしていくことで、新たなビジネスにつなげていこうというのが、私どもが考えている「ケータイのメディア化」なのです。
 そのための1つアプローチとして、当社ではポータルを使いやすく進化させたり、映像配信サービスのEZチャンネルやブログ、オークションなど、お客様が携帯電話に接する新たな機会を提供しているのです。
 そうはいっても、人間の行動様式というのは、なかなか変わるものではありません。すでに余暇時間の大半は、さまざまなコンテンツの視聴に費やされています。
 そこで、私どもでは、さまざまなメディアソフトの視聴行動を、着うたフルや電子書籍などのケータイコンテンツで置き換えてしまおうと考えました。これが、「携帯のメディア化」の2つ目のアプローチになるわけです。これは、それなりに成功しているのではないかと自負しております。
 しかし、これだけでは、まだ不十分です。次のアプローチとして考えられるのが、テレビやラジオなどのマスメディアを携帯電話で置き換えることになるわけです。しかし、これを携帯電話のネットワークで実現しようとすると、技術的にも、また経済的にも非常にハードルの高いものになってしまいます。
 そこで、私どもが考えたのが「放送メディアとの連携」、具体的には携帯電話に放送用チューナーを搭載してしまおうということでした。これによって、放送の持っている非常に大きな集客力、影響力を、携帯電話側に取り込もうと考えたのです。
 実は、こうした形による「放送メディアとの連携」を実現する上では、「定額料金」が非常に重要なファクターとなっています。仮に携帯電話会社が従量制の料金体系のままでサービス展開していたとすると、どうしてもすべてのサービスを自社の通信ネットワークでやらせたいという考えが生じます。これに対し、定額料金の下では「お金にならないトラフィック」は、ネットワークの圧迫要因でしかありませんから、排除しようということになる。そこで、初めて放送メディアとの連携という発想が生まれるわけです。
 さて、「放送メディアとの連携」を図る上で、われわれは、放送をトリガーにして、ユーザーをさまざまなコンテンツやコマースに誘導していくような仕組みを積極的に導入していこうとしています。例えば、KDDIがすでに提供している、「FMケータイ」では、単に放送が聴けるだけでなく、現在聴いている音楽を検索して「着うた」やCDが購入できる仕組みを用意しています。同様の機能は、アナログチューナー搭載の「EZテレビ」でも提供されていますし、もちろん「ワンセグ」で提供することも可能です。

ビジネスモデルの確立が課題

 KDDIは、「ワンセグ」には、非常に積極的に取り組んでおりまして、試験サービスで利用できるよう、昨年12月には対応端末を発売しています。また今年2月半ばには2機種目が店頭に並ぶ予定です。これらの端末には、オリジナル機能としてGPSとの連携や、今放送で流れている曲が検索できる機能や、EZチャンネルとの連携機能が搭載されています。
 さて、これらの端末は、非常にご好評をいただいているのですが、実は当社にとって、現状は少し厳しい部分がございます。現在、端末に「ワンセグ」チューナーを搭載すると万単位でのコストアップになってしまうのですが、このコストはなかなか販売価格には転嫁できません。そこで、現在は赤字覚悟で販売するような形になってしまっています。
 同様に放送事業者も「ワンセグ」には相当な設備投資をされますから、通信事業者、放送事業者双方が協力して何か新たな収益モデルを作り出さないと、サービスの成功は見込めないのではないかと、少し危惧をしているところです。
 とはいえ、このサービスの主体は、あくまで「放送」ですから、放送事業者に携帯電話を使った新しいビジネスを提供していただいて、われわれ通信事業者側が決済など、携帯電話上でのサービスを提供するためのプラットフォームを提供していく形が、現実的なビジネスの姿になっていくのではないかと考えております。
 また、「ワンセグ」では、すでに広告モデルが成立しないことが定説になっているようですが、私どもは携帯電話と連携したキャンペーンやセールスプロモーションなどの分野では、まだ可能性があるのではないかと考えております。
 いずれにしても、「ワンセグ」を核にいかにしてポジティブフィードバックを作り上げていくかが、このビジネスを成功させるための鍵を握っていると思われます。
KDDI株式会社
コンテンツ・メディア事業本部 メディア本部
コンテンツビジネス部長
神山 隆(かみやま・たかし)氏
1987年京都大学経済学部卒業。同年、KDDI(旧国際電信電話(株))入社。以来、地方支店、海外調査業務、予算管理業務、電話サービス商品企画業務に従事。旧国際電信電話時代は国内通信事業への参入プロジェクトに携わる。
KDDI発足とともにIP系新規ビジネス企画業務を経て、2002年3月より現職。以来、着うたサービスの立ち上げ、FM放送との連携、音楽配信サービス(着うたフル)の立ち上げ等、メディア開発関連業務に従事、現在は「ケータイのメディア化」をキーワードに、既存メディア系企業とのコラボレーション推進が課題。

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