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交流ネットワークサロン:ベンチャー向けNICT最新技術セミナー第1回「新世代ネットワーク研究」 〜 開催報告

自己紹介を兼ねて講師へ質問する参加者 参加者の質問を聞く細川研究センター長 積極的に交流を深める参加者ら
日時 6月28日(月) 15:30〜18:00
場所 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)麹町会議室

アイコン概要

独立行政法人情報通信研究機構 新世代ネットワーク研究センター 研究センター長の細川氏を講師にお招きし、ICTベンチャーの技術の飛躍のため、NICTの研究者による 最新の技術セミナーを開催しました。ベンチャー経営に係わる参加者が集まり、新世代ネットワークの研究動向等についてお話を伺いました。講義終了後、参加者と名刺交換をされるなど、交流を深めました。

■ベンチャー向けNICT最新技術セミナー

「NICT新世代ネットワーク研究センターの研究動向」
〜光技術をコアに未来社会のネットワークを創造〜

【講 師】(独)情報通信研究機構 新世代ネットワーク研究センター
      研究センター長 細川 瑞彦 氏

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■勉強会でのポイント

○新世代ネットワーク研究センターと各グループの位置づけ

(1)新世代ネットワーク研究センターの紹介 http://www2.nict.go.jp/w/w100/

新世代ネットワークのあるべき姿とは何かを考え、インターネットの限界を超えるアーキテクチャの理想を追求し、光技術に裏打ちされた高い処理能力を持つネットワークシステム技術と、最先端の要素技術、そしてネットワークと結びついた周波数・時空標準技術を確立することを目指した研究開発を産業界、大学等と連携して進めている。

研究センターは5つの研究グループと推進室から構成され、 東京都小金井市の本部、茨城県鹿嶋市の鹿島宇宙技術センター、兵庫県神戸市の神戸研究所で研究開発を行っているほか、最先端光デバイスの試作・測定装置を備えた研究開発施設フォトニックデバイスラボ、日本標準時の全国供給施設としておおたかどや山標準電波送信所 (福島県)、はがね山標準電波送信所(福岡県/佐賀県)を運用している。

各グループの紹介は以下をご参照。

(2)各グループ紹介

(3)新世代ネットワーク研究センターの研究概要

  1. 新世代ネットワークの構築
    • 光パケット・パス統合⇒超高速・大容量、グリーン
    • ネットワーク仮想化⇒多様なサービス、持続進化可能
    • ID/ロケーター分離⇒端末の移動にも対応
  2. 最先端の光技術によるネットワーク革新
    • 量子通信技術⇒極限の大容量、秘匿性
    • 光周波数標準技術⇒最高の精度、科学技術の基盤
    • 光デバイスと集積化の技術⇒革新のNWの基礎

 

Q&A

質疑応答では、活発な意見交換が行われました。

Q:新世代ネットワークとは何か?次世代ネットワークとの違いを説明して欲しい。

A:  新世代ネットワーク(以下、新世代NW)は、今あるインターネット、次世代ネットワーク(以下、NGN)の問題を解決するための新しいネットワーク。NGNでできなかったこと、使い方で制約があったものを解決するネットワークが新世代NW。例えばQoS(Quality of Service:クオリティ・オブ・サービス)は、NGNでもある程度確保できるようになっているが、まだまだ制約は多い。サービス側では、QoSが十分でないため、医療などの利用には向かない。遠隔手術中に映像が途切れるようなことがあっては、実用にならない。また、容量も今の百倍、千倍が要求されると、現在のNWではもたなくなる。エネルギー消費や高いQoSの確保と安価で簡便な利用の両立への答えとしてオール光化とパケット・パス統合、多様なサービス導入のためのネットワーク仮想化などが、NICTが新世代ネットワークとして具体的に提示してきているもの。

Q:新世代NWの実用化に向けた考えや、民間との協力は?

A:  新世代NWについては、「新世代NWフォーラム」を立ち上げ、民間と一緒になって取り組みを進めている。NICTの自主研究部門では、民間が届かない、かなり先の研究テーマを手がけている。NICTは自ら研究するCRLと政策的に委託研究を行うTAOが一緒になった組織であり、委託する研究も多くあるが、それらがNICTの自主研究部門と連携して取り組んでいくことが大事。メーカーとは、委託研究のかたちでつながりを持っている。パケット・パス統合、ネットワーク仮想化なども成果が出てきているが、実験レベルであり、実用化のためには、キャリアやメーカーと一緒に取り組むことが必要。技術開示等もそういうなかで進めて行きたい。

Q:秒の定義が変わるとはどういうことか?

A:  1950年代のマイクロ波の技術と量子エレクトロニクスの進展で原子時計が開発された。それまで天文観測に頼っていた時刻、時間の決定よりずっと精度が良くなった。それをうけて、1967年に秒の定義はセシウム原子時計で用いられるマイクロ波の共鳴周波数を基準とするものに変わった。最近はレーザーの技術が進んできて、マイクロ波より数桁周波数の高い光で、もっと高精度の原子時計の可能性が出てきたため、秒の定義の基準を光の原子時計に変えようと言う動きが出ている。国際度量衡局では、2019年あたりの定義変更を目指した検討を進めている。

 

Q:かつてATMがあったが、(パケット・パス統合は)その考えとどう違うだろうか?

A:  新世代NWでは、ユーザーが、必要に応じパケット交換とend to endのパスを選択し利用できることを考えている。ATMではパスとパケット両方の長所を取り入れようとしていたと聞いているが、このようなことまで目指していたとしたら、その目的をより具体的に実現しようとしていると言えるのではないか。

 

Q:セキュリティーについてどのような考えをもっているか教えて欲しい。

A:  NICTには情報セキュリティー研究センターもあり、そちらでいろいろ研究を行っている。新世代ネットワーク研究センターで研究している量子暗号は、費用もかかり伝送距離や速度にも制限はあるが、絶対破れない。そのため、首相官邸と霞ヶ関との間の通信を行うといったナショナルセキュリティなどで使うことが考えられる。
NICTの量子ICTグループは、一般の暗号と量子暗号を組み合わせて使用することで、安全性と利便性を両立させることを提案している。

 

参加者の声

  • 話の内容は面白く、内容の濃いものでした。有り難くお礼申し上げます。
  • かなり深い内容で入り込めない部分もありましたが、大変興味深いテーマでした。