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花咲けピクチャーズ株式会社  代表取締役  勝野 明彦 氏 〜平成23年度情報通信ベンチャービジネスプラン発表会 発表企業〜

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<氏名> 勝野 明彦氏
<社名> 花咲けピクチャーズ株式会社
<役職> 代表取締役
<設立> 2001年7月
<資本金> 2,100万円
<URL> hhttp://www.hanasake.jp/

 花咲けピクチャーズでは、ファッションブランドのアイテムを自由に着せ替えて、コーディネート試着シミュレーションを行うことができる「コーディネート試着機能」と、コーディネートの投稿やコンテストをはじめとする様々なイベントによって、お客様とブランドのコミュニケーション醸成を図ることのできる「コミュニティ機能」を持った「STYLE SHARETM (スタイルシェア)」を提供しています。

1.初めに

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第14回(平成23年度)NICT情報通信ベンチャービジネスプラン発表会、大賞に輝いた花咲けピクチャーズ株式会社、代表取締役 勝野明彦さんにお話しをお聞きしました。同社が提供するファッション特化型ECサイト向けソーシャルコマースサービス、「STYLE SHARE」は、福島県会津若松市からの推薦を受けて、今回の発表会に出場。事業の新規性、実現性、市場性などの審査基準に基づき選考を重ねた結果、今回、情報通信ベンチャービジネスプラン大賞に選ばれました。ファッション業界において新しいECプラットフォームを生み出しています。

2.【会津産IT技術認定大賞からNICT情報通信ベンチャービジネスプラン発表会出場へ】

(勝野氏)会津若松市とはご縁があって、今から7~8年前に、将来は会津大学に研究開発室を作りたいと考えていました。実際に昨年、2011年3月初旬に、研究室を作りたいと大学に共同研究の申し込みをしましたが、直後の3.11に東日本大震災があった為、一端は断られました。しかし、弊社として、少しでも復興支援がしたいと言う思いと、弊社担当副社長も「会津に行きたい」と強い意志だったので、2011年6月から会津大学産学イノベーションセンターの研究開発室に入居し、大学との共同開発など産学連携にも取組んでいます。大学生のインターン等で、学生約9名が現在では、プログラム等の研究開発を行っています。

会津若松市は、ベンチャー育成に力を入れた素晴らしい気質があり、古くは「日新館」と言う藩校があり、そこから志士達が生まれ、歴史的にも復興モデルがある場所です。そこで元東大教授が、19年前に「日本のスタンフォードを作ろう!」と会津に日本で初めてのコンピュータ専科大学を作ったそうです。

弊社副社長が大学の研究室に、赴任した際にも市役所のIT担当の方が会いに来て下さり、会津若松市役所の方々は、弊社の取組みにも、当初から関心を持って下さり、2011年の11月には会津のベンチャーを集めて、シンガポールで開催するビジネスマッチングの発表会への出場の機会も頂き、それをきっかけに、アメリカのDEMO*が開催したアジアで初めてのICTベンチャー大会でプレゼンをさせていただく事になり、会津発のベンチャー企業として、応援をして頂いております。

プレゼンは、社員のモチベーションUPにつながるよう、スタッフに担当してもらっています。自分がやりたくないと言うのもあるのですが(笑)。社員の成長にもつながると考えています。今回の大賞を受賞した際の、小松氏のプレゼンの様子を見て、とても嬉しかったです。

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(花咲けピクチャーズロゴ)

3.【ファッションとICTでビジネスをスタート】

(聞き手)今回のビジネスプラン発表会で、マーケティング室 小松部長が、プレゼンされて、受賞されたのもその一貫なのですね。起業されて約15年、起業する前の事からお聞きしたいと思います。

(勝野氏)前職はファッションとICTをテーマにバンタンデザイン研究所に新卒で入社、約12年お世話になりました。入社が決まると、ファッション業界の事を勉強するために、無料で勉強できる環境を手に入れたくて、バイトをさせてほしいと会社に頼んで企業教育を担当するセクションで大学に通いながら夜間のクラスでまなばせていただいきました。その後、最初の8年はファッション業界のコンサルティング等、小売店の教育を主に担当。当時は講師を見つけて、風土改革から商品化計画などマーチャンダイジング教育、店長教育などのプログラムを企画運営し、全国を回っていました。

(聞き手)ファッション業界で多くの人脈を築かれたのですね。その後の起業に至るまでの4年間のお仕事についても教えていただけますか?

(勝野氏)教育担当の次は新規事業の部署でパンタン電脳工場の企画立ち上げを行いました。1990年代は、ゲーム機の創業期でしたが、その中で当時の松下電器(パナソニック)が、3DOと言うゲーム機を発売すると言う情報をスクープして、ゲームソフト開発を行う新規事業を提案、先輩からは「好きなことをやっていい」と言われて、社内ベンチャーを立ち上げました。私自身は、エデュテイメントと言われる教育+エンタテインメント分野をミックスした教育ソフトを作りたいと考えていました。最終的にその分野のソフトでは「日本ソフトウェア対象・読売新聞社賞」をいただきました。

新規事業は経験の無い分野だったので、ICT分野を勉強する為、また仕事の為、一石二鳥になればと、当時「マルチメディア研究会」を立ち上げました。講師には、高城剛さんや、伊藤譲一さんなど有名な方々をお招きして、ひとり1万5千円のセミナーを企画しましたが、100人くらいのメーカー等関係者が集まり驚きました。この研究会は、会社を辞めるまで続けていました。この時感じた事は、ファッション業界は商いの世界で「人を大事にする」業界でした。それと比較するとICT業界は、ビジネス色が強いと感じていました。

現在、私はファッションとICTを融合したビジネスを運営していますが、自分自身のビジネスの根底には、前職の教育プログラムで学んだ先生達からの「生き方とは?」「人とは?」などの思想・哲学があります。それらマインドの上にスキルや知識があると言う概念で、現在も運営しています。経営理念はWin∞WIN、お客様の喜びを実現し、社員が成長することです。

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4.【ヒットを生むアイデアの実現に向けて】

(聞き手)起業の経緯について教えて頂けますか?

(勝野氏)もともと独立したいと言う願望が強く、国学院大学を卒業して、サラリーマンとして仕事をする傍ら、「自分に何が出来るのか?」をずっと模索していました。前職で企業教育担当している際に、出会った先生方からは「独立したいなら35歳までにしなさい。40歳を過ぎたらプライドが先にたってゼロから出来なくなる」と言われて35歳で会社を辞めて起業しました。当時はお金もなく、マイナスからのスタートでした。

(聞き手)資金調達、そしてその後の経営はどのようになさったのでしょうか?

(勝野氏)1年で300万貯めて、1998年にウィンウィン・エンターテインメント有限会社(現:株式会社エフエーラーニングラボ・ウィンウィン)を立ち上げました。当時は何がやりたいか?ではなく、妻もいましたので、とにかく何でもして稼ぐ必要がありました。自分のやりたかったエデュテインメントのソフト開発は、ビジネス化が難しく苦労していた時、天の声のような教育の仕事を企業の人事担当者から頂いて、一から取組みました。今ではDSの脳トレなどがありますが、これこそが本当はやりたかったことでした(笑)。

(聞き手)自分が実現したいと思うタイミングと、市場・マーケット、世の中の関心事が、一致することは難しいのかもしれません。先駆けて勉強することで培われた人脈は、着実に大きな糧となっているようです。アイデアはどのように生まれてくるのでしょう?

(勝野氏)私は「起業家」と言うより、「妄想家」なんです(笑)。頭でシミュレーションして、こんなのがあったらいいな・・・と、常に妄想してアイデアを形にしていきます。イメージ連結法で、四六時中アイデアを練っています。1998年当時、WEB上での3Dのキャラクター(CG)を流行らせたかったですが、その技術が日本にはなく、スウェーデンとアメリカにあったので、真っ先に「Web3D」技術のライセンスを自ら門を叩いて購入して、キャラクター制作を開始しました。

Web3Dだけでなく、海外で開催されるE3*のゲーム見本市やCES*などの海外見本市には、出かけて常に新しい情報をキャッチしていました。アメリカの流れが日本に来る事から、常に海外の情報を早めにつかむようにしています。また、Web3Dのキャラクター展開をする為には、市場を開拓する事が必要と考えて他社の関係ある企業を集めNPOを立ち上げ、約4年運営していました。

その後、社内の教育部門とCG制作部門を分ける為に、CG制作部門は、2001年に有限会社ポリゴンズ(現:花咲けピクチャーズ)を設立し、こちらで営業を開始しました。当初は、ホリプロからバーチャルタレントの伊達杏子のキャラクター・アニメーション制作を受注していました。これも少し早すぎたようで、現在の初音ミクの先駆けだと考えています(笑)。

(聞き手)そして、キャラクター制作、Yahoo!アバターやau oneアバター、iアバター(NTT docomo)といった大手サービスサイトのアバター企画・開発・運用までを行うと言う、快進撃が始まるのですね。

(勝野氏)Yahoo!のアバターは2Dでしたが10年続けて現在もお仕事させて頂いております。Yohoo!アバターの「花咲けミー!」は、オリジナルキャラクター商品として6万個以上を販売しました。アバターを提案する弊社のビジネスモデルは、これまではキャラクターを制作して納品し、制作費を頂くと言うモデルです。今回のSTYLE SHAREは、アプリケーションを開発し、コンテンツを共有するコミュニティプラットフォームを構築する、継続的に運用可能なビジネスモデルです。

(聞き手)UA、そしてYahoo!もそうですが、お客様とのお付き合いが長いのが特徴ですね。今回受賞された「STYLE SHARE」についてご紹介して頂けますか?

5.【キセカエ・シミュレーションツール “STYLE SHARE”】

(勝野氏)アパレル向けの販売員教育コンサルティングを行っているクライアントの中にユナイテッドアローズ様がいて、ECサイト上の商品アイテムを、アバターサービスのように着せ替えることが出来ないか!と閃いたのがきっかけです。それで、ファッションに特化したリアルクローズアバター&コミュニティ「STYLE SHARE」の開発をスタートしました。2011年3月には試着シミュレーション機能のUA Style Shareを導入。その後、2011年5月には、会津大学内でSTYLE SHAREの研究開発室を設立。その後6月には東京大学大学院 五十嵐教授と画像処理技術の共同研究スタート。7月には、筑波大学 星野研究室との顔合成・レコメンドエンジンの共同研究をスタート。コーディネートシミュレータでは、自社開発による世界初のWEBページ上の写真画像からデジタルアイテムを自動的に生成する技術を使用しています。

(聞き手)STYLE SHAREの特徴について、教えていただけますか?

(小松氏)特徴は大きく2つあります。
1)ECサイトで試着シミュレーションが出来ることです。現在、導入のユナイテッドアローズ オンラインストアでは7000点以上の商品を着せ替えに対応しています。商品在庫ともリアルタイムで連動。導入企業のメリットとしては、試着による着回し提案で、1回の買い物あたりの買上商品数・顧客単価のアップを図れると言うものです。
2)またコーディネートをコミュニティ共有できます。ECサイトの試着で作成したコーディネートを共有できるFacebook連動コミュニティを通して、新規顧客の獲得や訪問頻度の増加、口コミの促進によるソーシャルコマースの実現を目指しています。

(聞き手)このサービスがブレイクしたポイントについて教えていただけますか?

(小松氏)iPhoneアプリのリリースがターニングポイントだったと思います。それまではPC上でのサービス展開でしたが、スマートフォンアプリのリリース後に投稿コーディネート数は2倍以上に伸びました。リリース1ヵ月後の2011年12月にはUA Style Share iPhone版が累計30000ダウンロードを突破しました。

(聞き手)開発で、苦労された点について教えていただけますか?

(小松氏)本物の洋服の着せ替えを出来るだけリアルに再現する為に、約200種類の洋服のカテゴリーをシステム仕様に落とし込み、実際のコーディネートに近い感覚でサービスを楽しんで頂けるようにする為、苦労しました。例えば、前の開いたシャツや閉じたシャツに切り替えが出来たり、シャツをパンツの中にイン・アウトしたり出来るようにし、試着感覚を追求しました。リアルな着せ替えを表現出来るシステムが最大の特徴で、着せ替えサービスに商品を対応させるのに、撮影をする必要がありませんので、大量な商品をスピーディーに着せ替え対応する事ができます。現在までに約1年で15,000点以上の商品を着せ替えしてきました。

(聞き手)洋服の種類も多くて、とても見やすくて、かわいいですし、何より楽しいですね!

(小松氏)これからも色々な企業の商品が集まる、ファッションコーディネーションプラットフォーム展開を進めたいと思います。また、膨大な試着データに基づき、新しい形でのファッション特化型のレコメンドエンジンを作りたいと考えています。ファッションが好きな人にとって、楽しいと思えるサービスを提供し、それをファッション企業様に還元出来るようなサービスにしたいと考えています。

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6.【思い描く企業の姿と、今後の展望について】

(小松氏)人の心に花を!と言うコンセプトで「花咲けピクチャーズ」は私達社員が名付けました。常にアイデアを出し続け、諦めることなく進んでいきたいと考えていますが、今回のビジネスプラン発表会では、思った以上の評価をいただけて、とても大きな勇気になりました。

(勝野氏)会社は5人がちょうどよい数字だと考えています。5人の会社を12社作るのが、私の目標です。現在弊社は東京本社で、CGキャラクター制作と、ファッションECサイトの運営が柱となっていますが、「Style Share」と言う名前で会社を会津で立ち上げ、ファッションとICTに特化したアプリケーションの開発会社として、福島に貢献したいと考えています。人の成長なくして、企業の成長は無いと考えています。成長を止めないで、進めていくことが大事だと思います。これまで同様これからも「人」に焦点をあてて仕事をすることで社会に貢献していきたいと思います。

7.【取材後記】

社員には、人の3倍働こう!と、言って、ランチも会社で提供。社員の成長や健康にも気遣う家族のようなアットホームな雰囲気でした。昨年の大震災直後に完成したUA Style Shareは、災害にも負けず社員が一丸となって納期を守り、スタートさせたアプリだったそうです。営業は、勝野社長と小松部長の2人で、現在の社員数は約15名。システム開発やCGデザイナーなど技術担当者がほとんどです。勉強会やパーティーなどを毎月主催して、人脈を育み、常に最先端の技術や情報交換を行い、新たなビジネスを生み出しています。花咲けピクチャーズが制作するデザインや作品・アプリが、他社が作るものとはどこが違うのかについて伺ったところ、「キャラクターに魂が入っている」「愛が違う」と、おっしゃっていました。取引先の担当者や、周りの方々の心を動かし、信頼を得る秘訣が、ここにあると言えるのかもしれません。

◆平成23年度情報通信ベンチャービジネスプラン発表会のリンク先
http://www.venture.nict.go.jp/event/node_3774/node_37590/node_37108/node_37431/node_37511

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